
無許可業者への委託で産廃許可が取り消しに――大阪府の事例から考える解体工事の委託管理

大阪府は2026年4月24日、解体工事等で発生した産業廃棄物の処分を無許可業者に委託した会社について、収集運搬業の許可を取り消したと公表しました。処分の委託先を選んだことが、なぜ収集運搬業の許可にまで影響するのでしょうか。
1.大阪府の事例――処分された事実は何か
処分を受けたのは株式会社葵総業です。大阪府によると、同社の役員が、同社の請け負った解体工事等から発生した産業廃棄物の処分を、処分業の許可を持たない者に委託しました。この委託禁止違反により法人と役員が罰金刑に処せられ、2026年3月24日付で収集運搬業の許可が取り消されました。4月24日は公表日で、処分日とは異なります。
取消しの根拠は、廃棄物処理法第14条の3の2第1項第1号・第2号です。公表資料には、罰金額や刑の確定日、委託先を選んだ事情、実際の処理方法までは記されていません。
2.なぜ「処分の委託」で「収集運搬の許可」を失うのか
廃棄物処理法第12条第5項は、運搬と処分をそれぞれ適法に受託できる者へ委託するよう求めています。収集運搬業と処分業は別の許可であり(第14条第1項・第6項)、収集運搬業の許可だけでは処分を引き受けられません。無許可業者への委託は、委託した側も刑事罰の対象になります。第25条第1項第6号が委託禁止違反の罰則を定め、第32条は業務に関する違反について法人にも罰金刑を科す仕組みを設けています。
その罰金刑が許可の維持にも関わります。同法違反による罰金刑を受け、執行を終わるなどしてから5年を経過しない者は、許可を受ける資格を欠く「欠格要件」に該当します(第7条第5項第4号ニ、第14条第5項第2号イ)。法人自身に加え、役員の該当も法人の欠格要件になります(同号ニ)。このうち第14条の3の2第1項第1号・第2号の要件を満たせば、知事は許可を取り消さなければなりません。
今回、処分の委託に関する違反が収集運搬業の許可に及んだのは、法人・役員への罰金刑が欠格要件に結び付いたためです。違反行為が一つあればすべてのケースで直ちに許可が取り消されるという説明では、刑事処分と許可の関係を見誤ります。
3.解体工事の委託先を、どこまで確認するべきか
建設工事が数次の請負で行われる場合、廃棄物処理法第21条の3第1項は、原則として元請業者を排出事業者としています。下請に手配を任せても、元請の処理責任がなくなるわけではありません。ただし、大阪府の公表資料から本件の元請・下請関係や委託手配の経緯は確認できず、ここからは建設工事一般の説明です。
まず確認するのは、運ぶ会社と処分する会社を分け、それぞれの許可が今回の廃棄物に対応しているかです。処分業者については対象品目・処分方法・許可施設を、収集運搬業者については積込み地と積卸し地に必要な許可を、それぞれ有効期間と併せて照合します。「産廃の許可を持つ会社」という確認だけでは足りません。
建設廃棄物の処理を委託する場合、排出事業者である元請業者は、収集運搬業者・処分業者のそれぞれと、法定事項を含む書面で契約します(第12条第6項、施行令第6条の2)。引渡し時のマニフェスト交付と返送後の終了確認も必要です。電子マニフェストを使う場合は登録・報告確認を行います(第12条の3・第12条の5。法令上の例外を除きます)。契約書やマニフェストがあっても、無許可の委託先に頼めるわけではありません。
4.北海道の事業者が押さえておきたい経営上のポイント
北海道で現場と処理施設が離れ、広域的な運搬を手配する場合には、搬入先の変更に注意が必要です。例えば、予定の施設で受入れができず、下請や運搬業者から別の施設を紹介された場面を考えてみてください。従来の取引先が紹介した施設であっても、新しい処分先の許可や契約まで確認できたことにはなりません。
社内の運用としては、搬出前に誰が変更先の許可と契約を確認し、誰が承認するかを決めておく方法が考えられます。許可更新時にも資料を差し替え、現場が判断に迷えば確認が済むまで搬出を止められるようにする。これは法令で一律に定められた社内規程ではなく、委託基準を日々の手配に落とし込むための提案です。経営側が確認を求める一方で、工期を理由に確認前の搬出を認めていては、この手順は機能しません。
5.まとめ・筆者の考察
許可の取得は、申請時点で要件を満たす仕事です。維持には、その後の契約や現場の手配でも要件を外さない組織が必要になります。
委託先の変更を現場に任せるのであれば、判断の範囲と確認の手順も一緒に渡す。その線引きが自社でできているか、まず現在の処理ルートから確かめてみてはいかがでしょうか。
行政書士に相談するメリット
行政書士には、許可区分や委託先の許可範囲、契約の記載事項を整理し、現場で使う確認手順を検討する支援を相談できます。
社内で確認できる案件まで、毎回依頼する必要はありません。刑事事件や争訟への対応が必要な場合は、弁護士など適切な専門家に相談することになります。
出典元・参考資料
【一次資料】大阪府「産業廃棄物収集運搬業者に対する行政処分(許可の取消し)について」(報道提供日:2026年4月24日/処分日:2026年3月24日) https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/fumin/o120060/prs_49295.html
【法令】e-Gov「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(2026年10月24日照合。第7条第5項第4号ニ、第12条第5・6項、第12条の3・第12条の5、第14条第1・5・6項、第14条の3の2第1項第1・2号、第21条の3、第25条第1項第6号、第32条) https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
【行政資料】環境省「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」(平成23年3月30日) https://www.env.go.jp/content/900479498.pdf
【行政資料】東京都環境局「処理を委託する場合」(更新日:2024年12月20日/確認日:2026年10月24日) https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/industrial_waste/on_waste/itaku
【法令】e-Gov「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第6条の2(委託基準。2026年10月24日照合) https://laws.e-gov.go.jp/law/346CO0000000300
関連記事・内部リンク
▶ 「違反が露見する王道ルートとは?|産廃処理業を規制する廃掃法について」→こちらへ
▶ 「知らないと危険!産廃処理業で顧客も罰せられる“共犯構造”」→こちらへ

