
その資材置場、許可が必要になる?|2026年廃掃法改正と北海道企業が確認すべき屋外保管の新ルール

その資材置場、許可が必要になる?|2026年廃掃法改正と北海道企業が確認すべき屋外保管の新ルール
建設現場から撤去した電線やケーブル、使用済み設備、金属製資材などを、会社の敷地内で保管していませんか。
2026年6月19日、廃棄物処理法(廃掃法)の改正法が公布され、使用済みの金属・プラスチック物品を保管・再生する事業に対して、新たな許可制度が導入されることになりました。
今回の法改正は、スクラップヤード事業者だけでなく、使用済み資材を回収・保管・売却する一般企業にも関係する可能性があります。
ただし、資材を屋外に置いているだけで許可が必要になるわけではありません。北海道の建設業、電気工事業、通信設備工事業などを念頭に、法改正の概要と判断基準を解説します。
※本記事は2026年10月12日時点の法令・公表資料に基づいています。許可対象の詳細や保管基準等には、今後の政省令等で具体化される事項が含まれます。
1.2026年の廃掃法改正で何が変わるのか
これまで、金属スクラップなどが有価物として取引される場合、廃棄物処理法上の廃棄物に該当しないケースがありました。
しかし、一部のスクラップヤードでは、不適正な保管による火災、騒音、油分の流出などが問題となっています。
これを受け、2026年6月19日公布の改正法(令和8年法律第43号)では、一定の使用済金属・プラスチック物品の保管・再生を業として行う者に対する許可制度を創設しました。
主な改正内容は次のとおりです。
- 使用済金属・プラスチック物品の保管業・再生業に対する許可制度の導入
- 事業者に対する保管・再生基準の整備
- 不適正な保管・再生に対する行政監督の強化
- 環境汚染のおそれがある一定の物品について、適正な再生等を促進
許可制度は、公布から2年6か月以内に政令で定める日に施行されます。
2026年10月現在、新たな保管業等の許可制度は、まだ施行されていません。
2.一般企業の資材置場も対象になるのか
今回の法改正は、一般に「スクラップヤード」と呼ばれる施設だけを対象とするものではありません。
北海道内の一般企業でも、次のような物品を保管しています。
| 業種 | 保管する物品の例 |
|---|---|
| 電気工事業 | 撤去した電線、ケーブル、配電設備 |
| 通信設備工事業 | 使用済み通信ケーブル、通信機器 |
| 建設業 | 撤去した金属部材、設備機器 |
| 設備工事業 | 使用済み配管、空調設備 |
| リサイクル業 | 金属スクラップ、使用済みプラスチック製品 |
ただし、保管物の種類だけで許可の要否は決まりません。
新品資材を自社工事のために保管する場合と、使用済み金属を継続的に買い取り、保管・販売する場合では、事業の性質が異なります。
重要なのは、「何を、何のために、どのような事業として保管しているか」です。
3.許可が必要になる法律上の条件
改正廃掃法第24条の7第1項では、要適正保管使用済金属・プラスチック物品の「譲渡のための保管」を業として行う者を、保管業許可の対象としています。
許可の要否は、次の条件から判断します。
① 使用済金属・プラスチック物品に該当するか
改正法第2条第7項では、使用を終了し、収集された物品で、その全部又は一部が金属又はプラスチックから成るものを「使用済金属・プラスチック物品」と定義しています。ただし、廃棄物等は除かれます。
さらに、保管業許可の対象となるのは、そのうち不適正な保管によって人の健康や生活環境に被害が生じるおそれがある「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」です。
② 譲渡のための保管であるか
自社工事に使用する新品資材の保管は、この要件に該当しません。
一方、使用済み電線や金属製設備を資源として売却するために保管する場合は、譲渡目的という要件を検討する必要があります。
③ 保管を業として行っているか
法律は、すべての譲渡目的の保管に許可を求めているわけではありません。「業として行う」ことが要件です。
通常の工事に伴う撤去品の一時保管と、使用済み金属を反復継続して集荷・保管・販売する事業では、性質が異なります。
ただし、自社工事から発生した撤去品という理由だけで対象外にはなりません。反復継続性、取引実態、保管の独立性などから判断する必要があります。
④ 許可の適用除外に該当するか
改正法第24条の7第1項ただし書では、事業場の敷地面積が政令で定める面積以下の場合や、政令で定める者について、許可の適用除外が設けられています。
また、一定の廃棄物処理業許可等を有する者には、法第24条の12による特例があります。
したがって、保管業の要件に該当しても、直ちに新規許可が必要になるとは限りません。
4.建設業・通信工事業の資材置場を具体的に考える
一般企業にとって重要なのは、自社の保管形態がどのように扱われるかという点です。
| 保管形態 | 新たな保管業許可の考え方 |
|---|---|
| 自社工事用の新品資材 | 使用済み物品ではないため対象外 |
| 撤去設備を自社で再使用するための保管 | 譲渡目的の保管業に当たらなければ対象外 |
| 工事で生じた産業廃棄物 | 従来の廃掃法上の規制を確認 |
| 自社工事の撤去金属を集約し、資源として売却 | 譲渡目的・事業実態・対象物品の該当性を確認 |
| 他社から使用済み金属を継続的に買い取り、保管・販売 | 新制度の保管業許可を重点的に検討 |
特に、自社工事から発生した使用済み物品を、会社の資材置場に集約して売却する場合には注意が必要です。
譲渡目的の保管という側面はありますが、それだけで「保管を業として行っている」とは結論付けられません。
判断に当たっては、次の実態を確認します。
- 本業は建設・設備工事か、資源の回収・販売か
- 使用済み物品を反復継続して集荷しているか
- 他社からの買取り・引取りを行っているか
- 保管場所が独立した資源販売の拠点となっているか
- 売却行為が本業に付随するものか、独立した事業か
これらは法律で定められた一律の判定基準ではなく、事業の実態を確認するための検討事項です。
なお、有価物として売却される場合でも、廃棄物該当性は取引価格だけで決まりません。物の性状、排出状況、取扱形態、取引価値等から総合的に判断します。
まず廃棄物に該当するかを判断し、該当しない場合に新制度の対象物品かを検討することが基本です。
また、破砕や選別などの再生を業として行う場合は、保管業とは別に、改正法第24条の15に規定する再生業許可の検討が必要です。
5.北海道企業が注意したい屋外保管の問題
北海道では、広い敷地を活用した屋外保管が合理的な運用方法となる場合があります。一方、地域特有の気象条件にも注意が必要です。
- 積雪による保管物の埋没や管理状況の確認困難
- 雪解け水による油分や汚濁物質の流出
- 冬季の消防活動や場内通行への支障
- 長期保管による設備・資材の劣化
- 周辺環境や土地利用条件との関係
これらが一律に新制度の許可要件となるわけではありませんが、適正な屋外保管を考えるうえで重要です。
また、市街化調整区域に保管場所がある場合などは、廃掃法とは別に都市計画法や建築基準法等の確認が必要となるケースもあります。
6.今から確認しておきたい5つの事項
新制度の施行に備え、次の事項を確認しましょう。
① 保管物の整理
新品、再利用予定品、使用済み物品、廃棄物を区分し、保管状況を把握します。
② 保管目的の明確化
自社使用、再利用、資源としての売却など、保管目的を整理します。
③ 保管場所の現状確認
所在地、敷地面積、保管量、管理方法、保管期間を確認します。
④ 既存の許認可の確認
産業廃棄物処理業許可、施設設置許可、土地利用に関する手続等を整理します。
⑤ 新制度の動向確認
今後の政省令、環境省のガイドライン、所管行政庁の運用方針を確認します。
現段階で重要なのは、許可取得を前提として設備投資を急ぐことではありません。
自社の保管実態を把握し、新制度への該当性を見極めることが、無駄な支出を防ぐ第一歩です。
7.許可制の導入は企業経営にどう影響するか
今回の法改正は、単なる行政手続の追加ではありません。
従来から継続している保管・売却事業でも、今後、新たな許可や設備管理上の対応が必要になる場合があります。
一方、適正に事業を行ってきた企業にとっては、不適正な事業者との競争条件が見直される契機にもなります。
経営者には、施行を待つだけでなく、事業継続に必要な条件を早期に把握する姿勢が求められます。
許可の必要性が明らかになってから保管場所の変更や設備整備を進める場合、想定外の費用や時間が発生するおそれがあります。
8.行政書士に相談するメリット
使用済み資材の保管に関する法的判断には、物品の種類、保管・再生の事業形態、既存許認可、土地利用の状況などを総合的に検討する必要があります。
行政書士による主な支援は次のとおりです。
- 保管実態の整理と新制度への該当性の検討
- 既存許認可と新制度の関係の確認
- 行政庁への事前相談・照会の支援
- 必要な許認可手続と準備事項の整理
- 法令対応を踏まえた事業計画の検討
環境コンサル行政書士法人では、北海道内の産業廃棄物処理業許可、施設設置許可、環境関連法令への対応を専門的に取り扱っています。
屋外保管場所の法的な取扱いや、法改正に伴う事業継続への対応について、お困りの際はご相談ください。
9.まとめ|まずは自社の資材置場を確認することから
2026年の廃掃法改正により、使用済金属・プラスチック物品の保管・再生を業として行う事業について、新たな許可制度が導入されます。
ただし、屋外に資材を保管している企業すべてに許可が必要になるわけではありません。
保管業許可では、対象物品に該当すること、譲渡のための保管であること、業として行うこと、適用除外に該当しないことが判断のポイントです。
自社工事から発生した撤去資材についても、発生元だけで一律に判断せず、保管や売却の実態を確認する必要があります。
法改正への対応は、許可取得そのものが目的ではありません。不要な負担を避けながら、法令を遵守し、事業を安定的に継続できる環境を整えることが重要です。
この機会に、自社の資材置場の運用を確認することをお勧めします。
参考資料・出典
- 環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について(2026年4月10日)
- 衆議院「第221回国会 閣法第59号 改正法律案本文」
- 参議院「第221回国会 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」
- 環境省「令和8年度スクラップヤード環境対策技術検討会(第3回)」
- 環境省「令和8年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」
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▶ スクラップヤード許可制へ|有価物保管も規制対象に(廃掃法改正見込み)→こちらへ

