経営力向上計画とは?|設備投資・税制優遇と省エネによる経営改善を行政書士が解説

経営力向上計画とは?|設備投資・税制優遇と省エネによる経営改善を行政書士が解説

設備の老朽化、人手不足、電気料金・燃料費の上昇。

北海道の企業にとって、設備投資は単なる「機械の入替え」ではなく、今後の収益力を左右する重要な経営判断です。

そこで活用を検討したい制度の一つが、経営力向上計画です。

経営力向上計画は、設備投資や人材育成、コスト管理などを通じて、自社の経営力を高めるための計画です。国の認定を受けることで、一定の要件のもと税制措置や金融支援などを利用できます。

環境コンサル行政書士法人では、経営力向上計画を単なる「節税制度」ではなく、設備更新を経営改善につなげる制度と考えています。

特に北海道企業では、

省エネ=環境対策

で終わらせず、

省エネ=原価低減=経営改善

まで踏み込んで考えることが重要です。

1.経営力向上計画とは

経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、中小企業者等が経営力向上に向けた取組を策定し、国の認定を受ける制度です。

対象となる取組は設備投資だけではありません。

  • 機械・設備の導入
  • 生産工程の改善
  • 人材育成
  • コスト管理の強化
  • IT・システムの導入
  • 業務効率化
  • 経営管理体制の改善

つまり、経営力向上計画は「機械を買うための計画」ではなく、設備・人材・業務管理をどのように改善し、生産性や収益力を高めるかを整理する経営計画です。

2.経営力向上計画を作成するメリット

認定を受けることで、一定の要件を満たす場合には、主に次の支援措置を検討できます。

① 税制措置

代表的なものが、中小企業経営強化税制です。

対象設備について一定の要件を満たせば、即時償却または税額控除を選択できる場合があります。

設備投資額が大きい企業にとっては、投資年度の税負担やキャッシュフローを考えるうえで重要な制度です。

② 金融支援

経営力向上計画の認定事業者は、計画に基づく事業資金について、一定の金融支援制度を利用できる場合があります。

設備価格だけでなく、資金調達・税負担・投資回収まで含めて考えることが重要です。

3.中小企業経営強化税制とは

経営力向上計画とあわせて確認したいのが、中小企業経営強化税制です。

2026年9月現在、主な区分は次のとおりです。

A類型|生産性向上設備

一定の生産性向上要件を満たす設備が対象です。

設備メーカー等を通じ、工業会等による証明書を取得することがポイントです。

B類型|収益力強化設備

設備投資によって収益力を高める計画です。

原則として、年平均の投資利益率7%以上が見込まれる投資計画について、経済産業局の確認を受ける必要があります。

D類型|経営資源集約化に資する設備

M&Aなどの事業承継等を行った後の設備投資について、一定の要件を満たすものが対象です。

E類型|経営規模拡大設備等

売上高100億円を目指す中小企業の成長投資を支援する区分です。

2025年度税制改正で追加された枠で、一定の場合には建物やその附属設備も対象となります。

自社の設備がどの類型に該当するかによって、必要書類や確認手続が異なります。

4.対象となる設備の例

中小企業経営強化税制では、一定の要件を満たす次の設備等が対象となります。

  • 機械装置
  • 工具
  • 器具備品
  • 建物附属設備
  • ソフトウェア

設備ごとに最低取得価額などの要件があります。

例えば、機械装置は原則として1台または1基160万円以上などの価額要件があります。

単に「高額な設備を購入すれば対象になる」という制度ではなく、設備の種類、取得価額、用途、性能、導入時期などの確認が必要です。

5.北海道企業こそ「省エネ」と経営力向上を一緒に考える

北海道企業では、省エネルギー設備への更新が経営改善に直結するケースがあります。

事業内容によっては、

  • 暖房
  • ボイラー
  • 冷凍・冷蔵設備
  • 空調
  • コンプレッサー
  • モーター
  • ポンプ
  • 生産設備
  • 建設機械
  • 照明設備

などのエネルギー使用量が大きくなります。

設備が老朽化すると、

電気代・燃料費の増加
↓
製造原価・処理原価・事業コストの上昇
↓
営業利益の圧迫

につながります。

そこで、省エネ設備への更新を単なる環境対策ではなく、

エネルギー使用量削減
↓
電気代・燃料費削減
↓
原価低減
↓
利益率改善
↓
経営力向上

という経営改善の流れとして捉えることが重要です。

6.「省エネ=環境対策」だけではもったいない

例えば、年間の電気料金が1,000万円かかる工場で、省エネ設備への更新により10%削減できれば、

年間100万円のコスト削減

になります。

売上を100万円増やすことと、利益を100万円増やすことは同じではありません。

一方、コストを年間100万円削減できれば、その効果は直接的に利益改善へつながります。

省エネ投資を検討する際は、

  • CO₂排出量を何%削減できるか
  • 電力使用量を何kWh削減できるか
  • 年間電気料金はいくら減るか
  • 年間燃料費はいくら減るか
  • 原価はいくら下がるか
  • 投資額を何年で回収できるか
  • 営業利益にどの程度寄与するか

まで考えることが重要です。

省エネ設備は「環境設備」であると同時に、「利益を生み出す経営設備」でもある。

これが当法人の考える設備投資の視点です。

7.経営力向上計画では「労働生産性」を考える

経営力向上計画では、原則として労働生産性の向上を目標として設定します。

労働生産性は、基本的に、

(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量

という考え方で算定します。

計画期間に応じた目標は、原則として、

  • 3年間:1%以上向上
  • 4年間:1.5%以上向上
  • 5年間:2%以上向上

とされています。

重要なのは、単に機械を購入することではありません。

設備投資によって何が変わるのか

  • 作業時間が短縮される
  • 生産量が増加する
  • 人手不足を補える
  • 不良率が下がる
  • 外注費が減る
  • 電気代・燃料費が減る
  • 売上総利益が改善する
  • 営業利益が増える

こうした設備投資と経営数値の因果関係を整理することが重要です。

8.北海道企業で想定される活用例

製造業

老朽化した製造設備を高効率設備へ更新。

生産能力向上+電力使用量削減+製造原価低減

を目指します。

産業廃棄物処理業

破砕機、選別設備、重機などを更新。

処理能力向上+燃料使用量削減+修繕費削減+処理原価低減

につなげます。

建設業

ICT(情報通信技術)対応建設機械や施工管理システム等を導入。

省人化+施工時間短縮+生産性向上

を目指します。

運送・物流業

物流設備、倉庫設備、業務管理システム等を導入。

作業効率化+人員配置最適化+物流コスト削減

につなげます。

食品・冷凍冷蔵関連事業

冷凍機、冷蔵庫、空調設備等を高効率設備へ更新。

電力使用量削減+品質維持+原価低減

を図ります。

重要なのは「対象設備かどうか」だけを見ることではありません。

設備導入→業務改善→コスト削減→利益改善

まで考えることで、設備投資の意味が変わります。

9.設備を購入する前に確認する

経営力向上計画を活用する場合、特に注意したいのが設備の取得時期です。

経営力向上設備等を取得する計画では、申請前に工業会等による証明書または経済産業大臣による確認書が必要となる場合があり、設備取得前の手続が重要です。

そのため、

「機械を購入してから制度を調べる」

のではなく、

「設備投資を決めた段階で制度を確認する」

ことが重要です。

設備業者との契約、発注、納品、取得、事業供用、計画申請の時期は事前に整理しておく必要があります。

10.先端設備等導入計画との違いにも注意

設備投資に関する制度として、経営力向上計画と混同されやすいものに先端設備等導入計画があります。

これは別の制度です。

先端設備等導入計画は、市町村の認定を受け、一定の要件を満たす設備について固定資産税の軽減措置を受けられる場合があります。

2026年9月現在、現在の適用期限は2027年3月31日までとされており、賃上げ方針等に応じた固定資産税の特例措置があります。

そのため設備投資では、

経営力向上計画だけでなく、利用可能な制度を横断的に確認すること

が重要です。

11.行政書士に相談するメリット

経営力向上計画は、書類を作成すること自体が目的ではありません。

行政書士に相談するメリットは、設備投資の内容を整理し、経営改善につながる計画として申請書に落とし込めることにあります。

特に、

  • 自社が制度の対象となるか
  • どの設備が対象となる可能性があるか
  • A・B・D・E類型のどれを検討するか
  • 必要な証明書・確認書は何か
  • いつまでに何を準備するか
  • 現状分析をどのように記載するか
  • 設備投資と生産性向上をどう結び付けるか
  • 省エネ効果をどう経営改善へつなげるか

といった点を、設備導入前から整理できます。

環境コンサル行政書士法人では、許認可や行政手続だけでなく、環境・設備・経営の視点を組み合わせて考えます。

特に省エネルギー設備については、

「CO₂を減らす設備なのか」だけではなく、「会社の原価をいくら下げられる設備なのか」

という視点が重要です。

12.結論|設備投資を「経営改善」に変える

経営力向上計画は「節税のための計画」ではなく、「設備投資を経営改善につなげるための計画」である。省エネについても、環境対策だけで考えるのではなく、省エネ=原価低減=経営改善までつなげることが重要である。

設備を新しくするだけでは、必ずしも経営は改善しません。

重要なのは、

何を導入するか。
何が改善するか。
いくらコストが下がるか。
どれだけ利益が増えるか。

まで明確にすることです。

北海道では、エネルギー価格、人手不足、設備老朽化への対応が企業経営において重要になっています。

設備更新を予定している企業は、発注や購入前に、経営力向上計画や関連する税制・支援制度を確認することをおすすめします。


出典元

本記事は、2026年9月時点で公表されている以下の中小企業庁資料等を参考に作成しています。

  • 中小企業庁「経営力向上支援」
  • 中小企業庁「経営力向上計画 策定の手引き」
  • 中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく 支援措置活用の手引き」
  • 中小企業庁「中小企業経営強化税制」
  • 中小企業庁「固定資産税の特例(中小企業等経営強化法による支援)」

制度内容、対象設備、税制措置等は改正される場合があります。実際に制度を利用する際は、申請時点の最新情報をご確認ください。

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