北海道企業のためのEA21必勝ガイド(中編|Do編)

エコアクション21

北海道企業のためのEA21必勝ガイド(中編|Do編)

計画の実行で失敗しないための実務ノウハウ

前編では、エコアクション21(EA21)の第一段階である「計画の策定(Plan)」について解説しました。

Planでは、対象範囲を決め、経営課題とチャンスを整理し、環境経営方針、環境負荷の把握、環境関連法規、環境経営目標と計画を作ります。

しかし、EA21で本当に差が出るのは、その次です。

つまり、計画をどう実行するかです。

どれほど立派な環境経営方針や計画を作っても、現場で動かなければ意味がありません。特に、北海道の産業廃棄物処理業者、建設業者、運送業者、製造業者では、車両、重機、処理施設、現場作業、委託契約、マニフェスト、法令遵守、地域対応など、実務と直結する項目が多くあります。

今回の中編では、計画の実施(Do)に該当する要求事項7~12を、経営者にも現場担当者にも分かりやすく解説します。

エコアクション21中央事務局の資料によれば、2026年6月末現在のEA21認証・登録事業者数は全国で7,504社、北海道は100社です。都道府県別では、静岡県992社、東京都694社、大阪府451社、兵庫県498社、福岡県462社などと比較して、北海道にはまだ大きな普及余地があります。

また、業種別では、建設業が2,811社・37.4%、廃棄物処理・リサイクル業が1,556社・20.7%を占めており、EA21は建設業・産業廃棄物処理業と非常に相性の良い制度です。

EA21のDo編とは?|計画を「現場で動く仕組み」に変える段階

エコアクション21(EA21)は、PDCAサイクルで進めます。

前編のPlanで計画を作り、中編のDoで実行し、後編のCheck・Actionで確認、評価、見直しを行います。

Do編に該当する要求事項は、次の6項目です。

  • 要求事項7:実施体制の構築
  • 要求事項8:教育・訓練の実施
  • 要求事項9:環境コミュニケーションの実施
  • 要求事項10:実施及び運用
  • 要求事項11:環境上の緊急事態への準備及び対応
  • 要求事項12:文書類の作成・管理

産業廃棄物処理業者向けガイドラインでも、Do編は「計画の実施」として、要求事項7~12に整理されています。

ここで重要なのは、Do編を「書類作り」と考えないことです。

Do編の本質は、次の3つです。

  • 誰がやるかを決める
  • どうやるかを決める
  • やった証拠を残す

この3つが整えば、EA21認証・登録はかなり進めやすくなります。

要求事項7|実施体制の構築

実施体制とは「EA21を誰が動かすか」を決めること

要求事項7では、EA21を運用・維持し、環境経営を実践するための実施体制を構築します。

ガイドラインでは、代表者がリーダーシップを発揮し、役割、責任、権限を明確にし、必要な経営資源を用意することが求められています。

ここでいう経営資源とは、単にお金だけではありません。

  • 時間
  • 技能
  • 知識
  • 設備
  • インフラ
  • 資金
  • 顧客情報
  • 技術情報

などを含みます。

つまり、EA21は担当者に丸投げして進める制度ではありません。代表者が責任を持ち、社内全体で取り組む体制を作る必要があります。

産業廃棄物処理業者の実施体制例

産業廃棄物処理業者の場合、次のような体制が分かりやすいです。

  • 代表者
    • EA21全体の最終責任者
    • 環境経営方針の決定
    • 必要な人員・時間・予算の確保
    • 年1回の見直し・指示
  • 環境管理責任者
    • EA21運用の実務責任者
    • 環境経営目標・計画の進捗管理
    • 法令一覧表の管理
    • 審査対応
    • 環境経営レポート作成
  • 収集運搬担当
    • 車両燃費の記録
    • エコドライブの実施
    • 積込・運搬時の飛散流出防止
    • 事故・苦情発生時の報告
  • 処分施設担当
    • 処理量・再資源化量の記録
    • 破砕機・選別機・焼却炉等の点検
    • 騒音・振動・粉じん・排水管理
    • 緊急事態対応訓練
  • 事務担当
    • マニフェスト管理
    • 委託契約書管理
    • 許可期限・届出期限管理
    • 教育記録・文書管理
  • 営業担当
    • 排出事業者への再資源化提案
    • 環境経営レポートの営業活用
    • 顧客からの要望・苦情の受付

建設業の実施体制例

建設業では、現場ごとの管理が重要になります。

  • 代表者
    • EA21全体の方針決定
    • 現場への徹底指示
    • 協力会社への方針説明
  • 工事責任者
    • 現場ごとの環境管理
    • 建設副産物の分別管理
    • 建設リサイクル法届出の確認
    • 騒音・振動・粉じん対策
  • 現場代理人
    • 日々の点検
    • 協力会社への指示
    • 廃棄物保管場所の確認
    • 燃料使用量・重機稼働管理
  • 事務担当
    • マニフェスト管理
    • 委託契約書管理
    • 法令一覧表の更新
    • 教育・訓練記録の保存

認証・登録に向けた必勝方法

実施体制で失敗しないためには、次の3点を押さえます。

  • 代表者を頂点にする
  • 環境管理責任者を明確にする
  • 現場ごと、部門ごとの役割を具体化する

特に避けたいのは、次のような体制です。

  • 担当者1人だけがEA21を抱える
  • 代表者が内容を理解していない
  • 現場社員が自分の役割を知らない
  • 組織図はあるが、実際の仕事とつながっていない
  • 営業、事務、現場の連携がない

EA21の成功の鍵は、ガイドラインでも示されているとおり、全員参加です。代表者、部門長、現場担当、事務担当がそれぞれ役割を持つ体制にすることが重要です。

要求事項8|教育・訓練の実施

教育・訓練とは「知っている状態」から「できる状態」にすること

要求事項8では、EA21の取組を適切に実行するため、全従業員への教育・訓練と、環境に関する特定業務に従事する従業員への教育・訓練を行います。

ここで重要なのは、教育と訓練を分けて考えることです。

  • 教育
    • 知識を身につけること
    • 例:EA21とは何か、環境経営方針、法令遵守、目標の内容
  • 訓練
    • 実際にできるようにすること
    • 例:油流出時の対応、選別基準の運用、排水処理設備の操作、緊急連絡手順

つまり、EA21の教育・訓練は、座学だけでは不十分です。現場で使うルールは、現場で確認し、実際に動ける状態にする必要があります。

全従業員に必要な教育内容

全従業員に対しては、最低限、次の内容を共有します。

  • エコアクション21(EA21)とは何か
  • なぜ会社がEA21認証・登録を目指すのか
  • 自社の環境経営方針
  • 自社の環境経営目標
  • 部門ごとの役割
  • 省エネ・省資源の基本行動
  • 廃棄物分別ルール
  • 苦情・事故発生時の報告ルール
  • 法令違反を防ぐための基本事項

ガイドラインでも、全従業員は、環境経営方針、環境経営目標、環境経営計画、自らの役割や責任を十分に認識する必要があるとされています。

特定業務に必要な教育・訓練

産業廃棄物処理業者では、特定業務に従事する社員への教育・訓練が非常に重要です。

対象例は次のとおりです。

  • 特別管理産業廃棄物管理責任者
  • 廃棄物処理施設技術管理者
  • 焼却炉運転担当者
  • 破砕施設担当者
  • 選別作業担当者
  • 排水処理担当者
  • 危険物取扱者
  • 収集運搬ドライバー
  • マニフェスト管理担当者
  • 委託契約書管理担当者
  • 緊急事態対応担当者

教育・訓練の内容は、業務ごとに変えるべきです。

  • 収集運搬ドライバー
    • 飛散流出防止
    • 荷崩れ防止
    • エコドライブ
    • 事故時の連絡
    • マニフェスト受渡し
  • 破砕施設担当者
    • 投入禁止物の確認
    • 選別基準
    • 設備点検
    • 騒音・粉じん対策
    • 異常時停止手順
  • 焼却炉担当者
    • 受入禁止物の確認
    • 運転管理
    • 排ガス管理
    • 燃焼温度管理
    • 緊急停止手順
  • 事務担当者
    • マニフェスト管理
    • 委託契約書管理
    • 許可期限管理
    • 行政報告
    • 法令改正情報の確認

建設業で必要な教育・訓練

建設業では、現場ごとに作業内容が変わるため、朝礼や安全ミーティングと組み合わせると実行しやすくなります。

教育・訓練のテーマ例は次のとおりです。

  • 建設副産物の分別
  • コンクリート殻・アスファルト殻・木くずの管理
  • 混合廃棄物の削減
  • 建設リサイクル法の届出確認
  • 産業廃棄物委託契約書の確認
  • マニフェスト交付・回収管理
  • 騒音・振動・粉じん対策
  • 重機のアイドリングストップ
  • 軽油使用量の記録
  • 現場周辺住民への配慮

認証・登録に向けた必勝方法

教育・訓練は、難しく考えすぎる必要はありません。

おすすめは、次のような年間計画にすることです。

  • 4月:EA21方針・目標の全体教育
  • 5月:廃棄物分別・マニフェスト教育
  • 6月:車両燃費・エコドライブ教育
  • 7月:夏季の粉じん・臭気・熱中症対策
  • 9月:緊急事態対応訓練
  • 11月:冬季運搬・凍結・燃料管理教育
  • 1月:法令遵守状況の再確認
  • 3月:年間活動の振り返り

ガイドラインでは、教育・訓練の年間計画を作り、階層別・職種別に適切なプログラムを設定することが必要とされています。

EA21審査で強いのは、難しい研修資料ではありません。実際の仕事に結びついた教育記録です。

要求事項9|環境コミュニケーションの実施

環境コミュニケーションとは「社内外に伝わる仕組み」を作ること

要求事項9では、EA21の取組を発展させるため、組織内外の関係者と情報を共有し、双方向の環境コミュニケーションを行います。

ガイドラインでは、内部コミュニケーション、外部からの苦情・要望への対応、環境経営レポートの年次作成・公表が求められています。

ここで重要なのは、「一方的に知らせるだけ」では足りないということです。

EA21のコミュニケーションは、双方向です。

  • 会社から社員へ伝える
  • 社員から会社へ提案する
  • 顧客からの要望を受ける
  • 地域住民からの苦情に対応する
  • 行政からの指摘を改善に活かす
  • 環境経営レポートを外部に公表する

これらを通じて、EA21の実効性が高まります。

内部コミュニケーションの具体例

社内では、次のような方法が使えます。

  • 朝礼
  • 週次会議
  • 月次会議
  • 掲示板
  • 社内メール
  • チャットワーク
  • Google Chat
  • LINE WORKS
  • 回覧
  • 教育資料
  • 現場ミーティング
  • ヒヤリハット報告

伝える内容は、次のようなものです。

  • 代表者の環境経営への考え
  • 環境経営方針
  • 環境経営目標
  • 環境経営計画の進捗
  • 電気・燃料・水使用量の実績
  • 再資源化率
  • 最終処分量
  • 苦情・要望
  • ヒヤリハット
  • 法令改正情報
  • 代表者による見直し・指示

ガイドラインでも、内部コミュニケーションでは、会議、掲示板、電子掲示板、社内メールなどを活用し、縦方向・横方向の情報共有を行うことが重要とされています。

外部コミュニケーションの具体例

外部コミュニケーションでは、取引先、地域住民、行政、金融機関などとの関係を整理します。

具体例は次のとおりです。

  • 環境経営レポートをホームページに掲載する
  • 排出事業者に再資源化率を説明する
  • 処理施設見学を受け入れる
  • 地域清掃活動に参加する
  • 苦情受付窓口を明確にする
  • 行政の立入調査に対応する
  • 取引先の環境調査票に回答する
  • 金融機関に環境経営の取組を説明する
  • 近隣住民へ騒音・粉じん対策を説明する

特に産業廃棄物処理業者は、処理施設を運営する以上、地域社会との信頼関係が重要です。EA21の環境経営レポートは、会社の透明性を示す有効な資料になります。

苦情・要望対応で失敗しないための対策

苦情対応は、EA21の中でも軽視されがちです。

しかし、産廃業・建設業では、苦情対応が会社の信用を大きく左右します。

想定される苦情は次のとおりです。

  • 騒音
  • 振動
  • 粉じん
  • 臭気
  • 飛散
  • 流出
  • 車両通行
  • 道路汚れ
  • アイドリング
  • 積込時の音
  • 現場周辺の清掃不備

失敗しないためには、対応の流れを決めておきます。

  • 受付者を決める
  • 受付日時を記録する
  • 相手方を確認する
  • 内容を具体的に記録する
  • 現場確認を行う
  • 原因を調査する
  • 対応策を決める
  • 必要に応じて相手方に回答する
  • 再発防止策を講じる
  • 記録を保存する

苦情は面倒なものではなく、改善のきっかけです。対応記録が残っていれば、EA21審査でも「外部コミュニケーションが機能している」と説明しやすくなります。

要求事項10|実施及び運用

実施と運用とは「決めたことを毎日の業務に組み込むこと」

要求事項10では、環境経営方針、環境経営目標、環境経営計画、環境関連法規などの遵守に必要な取組を実施します。

必要に応じて手順書を作成し、運用することも求められています。

ここが、EA21の中で最も実務色の強い部分です。

EA21は、紙の上で完結する制度ではありません。

  • 車両をどう運転するか
  • 重機をどう動かすか
  • 廃棄物をどう選別するか
  • 施設をどう点検するか
  • 排水をどう管理するか
  • 騒音・粉じんをどう抑えるか
  • マニフェストをどう管理するか
  • 法令期限をどう守るか

これらを日常業務に組み込むことが、実施と運用です。

産業廃棄物処理業者の実施・運用例

産業廃棄物処理業者では、次のような運用が考えられます。

  • 収集運搬
    • 車両別の燃料使用量を記録する
    • 走行距離を記録する
    • 積載物の飛散流出を確認する
    • 運搬ルートを見直す
    • エコドライブを徹底する
  • 中間処理
    • 受入時に品目を確認する
    • 受入禁止物を明確にする
    • 選別基準を作る
    • 破砕機の空転を減らす
    • 再資源化量を記録する
    • 残渣量を管理する
  • 最終処分
    • 維持管理記録を整理する
    • 浸透水・放流水を管理する
    • 埋立量を記録する
    • 搬入物の確認を徹底する
  • 事務管理
    • マニフェストの回収状況を確認する
    • 委託契約書を更新する
    • 許可期限を管理する
    • 法令一覧表を更新する
    • 行政報告期限を管理する

建設業の実施・運用例

建設業では、現場ごとの実施・運用が重要です。

  • 現場着工前
    • 建設リサイクル法届出の確認
    • 廃棄物処理委託契約の確認
    • 処分先許可証の確認
    • 分別計画の作成
    • 近隣配慮事項の確認
  • 施工中
    • 建設副産物の分別
    • 混合廃棄物の削減
    • マニフェスト交付
    • 騒音・振動・粉じん対策
    • 重機のアイドリングストップ
    • 燃料使用量の記録
  • 工事完了後
    • マニフェスト回収状況確認
    • 処分量の集計
    • 再資源化率の確認
    • 苦情・要望の有無確認
    • 次回現場への改善点整理

手順書を作るべき業務

すべてを手順書にする必要はありません。

しかし、次のような業務は文書化した方が安全です。

  • 手順が複雑な業務
  • 複数人が関わる業務
  • 新人が担当する可能性がある業務
  • 法令違反につながる業務
  • 事故・苦情につながる業務
  • 環境負荷が大きい業務

具体的には、次のような手順書が考えられます。

  • 廃棄物受入確認手順
  • 選別基準
  • 破砕施設運転手順
  • 焼却炉運転手順
  • 排水処理手順
  • 油流出対応手順
  • マニフェスト管理手順
  • 委託契約書確認手順
  • 法令期限管理手順
  • 苦情対応手順

ガイドラインでも、手順が複雑な場合、管理対象に関係する人が多い場合、関係者の知識が不足している場合、環境関連法規に関係する場合は、文書化の必要性が高い例として示されています。

認証・登録に向けた必勝方法

実施と運用で失敗しないためには、次の考え方が重要です。

  • 現場で使わない手順書は作らない
  • 既存の日報やチェックリストを活用する
  • 5W1Hで手順を明確にする
  • 法令遵守に関わる業務は記録を残す
  • 目標達成に関わる数値は毎月確認する
  • 実行できないルールは作らない
  • ルールを増やすより、守れる仕組みにする

EA21の実施と運用は、きれいな文書を作ることではありません。現場が迷わず動けるルールを作ることです。

要求事項11|環境上の緊急事態への準備及び対応

緊急事態とは「起きたら困ること」を先に決めておくこと

要求事項11では、環境上の事故及び緊急事態を想定し、対応策を定め、可能な範囲で定期的に試行・訓練を行います。

また、事故発生後や訓練後には、対応策の有効性を検証し、必要に応じて改訂します。

産廃業・建設業では、緊急事態対応は非常に重要です。事故が起きた場合、環境影響だけでなく、行政対応、地域対応、営業停止、取引停止、信用失墜につながる可能性があるからです。

産業廃棄物処理業者で想定すべき緊急事態

産業廃棄物処理業者では、次のような緊急事態を想定します。

  • 収集運搬中の廃棄物流出
  • 保管場所からの廃棄物飛散
  • 油・燃料の漏えい
  • 有害物質の流出
  • 火災
  • 爆発
  • 排水処理設備の故障
  • 基準値を超える排水の流出
  • 基準値を超える排ガスの排出
  • 悪臭の発生
  • 粉じんの大量発生
  • 台風・大雨による保管物の流出
  • 地震によるタンク・配管破損
  • 停電による処理施設停止
  • 冬季の凍結による施設トラブル

ガイドラインでも、排水処理設備の故障、基準値超過排水・排ガス、収集運搬中や保管中の危険物・有害物の流出、火災、気候変動による水害などが緊急事態の例として挙げられています。

建設業で想定すべき緊急事態

建設業では、次のような緊急事態が考えられます。

  • 現場からの濁水流出
  • 油圧ホース破損による油漏れ
  • 重機燃料の漏えい
  • アスベスト含有建材の誤処理
  • 廃棄物の飛散
  • 粉じんの大量発生
  • 騒音・振動苦情の集中発生
  • 土砂流出
  • 台風・大雨による資材・廃棄物流出
  • 火災
  • 周辺道路の汚損
  • 冬季の凍結事故

北海道では、次の要素も考慮すべきです。

  • 積雪
  • 凍結
  • 融雪期の濁水
  • 長距離運搬
  • 山間部・郊外現場
  • 強風による飛散
  • 冬季燃料使用量の増加
  • 停電・災害時の事業継続

緊急事態対応手順に入れるべき項目

緊急事態対応手順は、実際に使える形にします。

最低限、次の項目を入れます。

  • 想定する緊急事態
  • 発生場所
  • 発生原因
  • 環境影響
  • 初期対応
  • 通報先
  • 社内連絡先
  • 行政連絡先
  • 顧客連絡先
  • 使用する資材
  • 担当者
  • 記録方法
  • 再発防止策
  • 訓練頻度
  • 見直し方法

例えば、油流出であれば、次のような流れです。

  • 漏えいを発見する
  • 作業を停止する
  • 周囲に知らせる
  • 火気を遠ざける
  • オイルマットで拡大を防ぐ
  • 側溝・排水溝への流入を防ぐ
  • 責任者に連絡する
  • 必要に応じて行政・消防へ連絡する
  • 回収物を適正処理する
  • 原因を記録する
  • 再発防止策を講じる

試行・訓練の進め方

緊急事態対応は、紙で決めただけでは不十分です。実際に訓練する必要があります。

おすすめは、年1回以上の試行・訓練です。

  • 油流出訓練
  • 火災時の連絡訓練
  • 排水異常時の対応訓練
  • 廃棄物流出時の対応訓練
  • 台風・大雨前の保管点検訓練
  • 停電時の施設停止訓練
  • 冬季凍結時の対応確認

ガイドラインでも、試行は対応手順が機能するかを定期的に試すものであり、机上だけでなく、できるだけ現場で模擬的に行うことが望ましいとされています。

失敗しないための対策

緊急事態対応で失敗する会社には、共通点があります。

  • 手順書はあるが、誰も読んでいない
  • 緊急連絡先が古い
  • オイルマットの場所を知らない
  • 夜間・休日の連絡体制がない
  • 行政への連絡基準が曖昧
  • 訓練をしていない
  • 訓練後の見直しをしていない
  • 冬季・災害時の対応を想定していない

これを防ぐためには、次の対策が有効です。

  • 緊急連絡先を年1回更新する
  • 対応資材の保管場所を掲示する
  • 訓練写真を残す
  • 訓練結果を記録する
  • 改善点を次回手順に反映する
  • 新入社員にも現場で説明する
  • 夜間・休日の連絡方法を決める
  • 北海道特有の積雪・凍結・融雪リスクを想定する

EA21の緊急事態対応は、審査対策ではなく、会社を守るための危機管理です。

要求事項12|文書類の作成・管理

文書類の作成・管理とは「証拠を残し、最新版を使える状態にすること」

要求事項12では、EA21の取組に必要な文書類を作成し、適切に管理します。

ガイドラインでは、EA21の取組を実施するために、15種類の文書類及び組織が必要と判断した文書類を作成し、管理することが求められています。

ここで大切なのは、文書を増やしすぎないことです。EA21のためだけに複雑なマニュアルを作ると、現場が使わなくなります。

文書管理の目的は、次の3つです。

  • 必要な情報を残す
  • 最新版を使う
  • 審査や社内確認で説明できるようにする

EA21で必要な文書類

ガイドラインで示されている主な文書類は、次のとおりです。

  • 環境経営方針
  • 環境への負荷の自己チェック結果
  • 環境への取組の自己チェック結果
  • 環境関連法規などの取りまとめ
  • 環境経営目標
  • 環境経営計画
  • 実施体制
  • 外部からの苦情などの受付状況及び対応結果
  • 事故及び緊急事態の想定結果及び対応策
  • 緊急事態対応の試行及び訓練結果
  • 環境経営目標の達成状況
  • 環境経営計画の実施状況及び評価結果
  • 環境関連法規などの遵守状況の結果
  • 問題点の是正処置及び予防処置の結果
  • 代表者による全体評価と見直し・指示の結果
  • 環境経営レポート
  • 組織が必要と判断した手順書

なお、EA21だけのために文書を作るのではなく、既存文書をできる限り活用することが望ましいです。

産廃業で活用できる既存文書

産業廃棄物処理業者であれば、すでに多くの文書があります。

EA21用に一から作るのではなく、既存文書を活用します。

  • 産業廃棄物処理業許可証
  • 施設設置許可証
  • 変更許可申請書
  • 変更届
  • 委託契約書
  • マニフェスト
  • 帳簿
  • 維持管理記録
  • 処理実績報告書
  • 計量伝票
  • 車両点検記録
  • 日報
  • 受入基準
  • 保管場所図面
  • 緊急連絡網
  • 行政指導記録

建設業で活用できる既存文書

建設業でも、次の文書をEA21に活用できます。

  • 建設業許可関係書類
  • 工事台帳
  • 施工計画書
  • 安全衛生書類
  • 建設リサイクル法届出書
  • 廃棄物処理委託契約書
  • マニフェスト
  • 現場日報
  • 協力会社名簿
  • 重機点検記録
  • 燃料使用記録
  • 現場写真
  • 苦情対応記録
  • 近隣説明資料

文書管理で決めるべき項目

文書類の管理では、次の項目を決めておくと実務で使いやすくなります。

  • 文書名
  • 作成者
  • 承認者
  • 作成日
  • 改訂日
  • 版番号
  • 保管場所
  • 保管期間
  • 電子データの保存先
  • バックアップ方法
  • 配布先
  • 廃棄方法
  • 最新版の確認方法

ガイドラインでも、文書管理の参考項目として、タイトル、日付、作成者、承認者、管理番号、版、形式、配布先、保管方法、バックアップ方法、保管期間、廃棄方法などが示されています。

認証・登録に向けた必勝方法

文書管理で失敗しないためには、次の方針が有効です。

  • 紙と電子データのどちらを正本にするか決める
  • Google Driveや共有フォルダで一元管理する
  • ファイル名に日付と版番号を入れる
  • 古い様式を使わないようにする
  • 審査で必要な文書をフォルダ分けする
  • 既存の日報・台帳・契約書を活用する
  • 作りっぱなしではなく、使う文書にする

おすすめのフォルダ構成は次のとおりです。

  • 01_環境経営方針
  • 02_対象範囲・実施体制
  • 03_環境負荷データ
  • 04_環境関連法規
  • 05_環境経営目標・計画
  • 06_教育訓練
  • 07_コミュニケーション・苦情対応
  • 08_緊急事態対応
  • 09_実施状況確認
  • 10_代表者見直し
  • 11_環境経営レポート
  • 12_審査資料

これだけで、EA21の運用はかなり整理されます。

認証・登録に向けた必勝方法|Do編の進め方

EA21のDo編を効率よく進めるには、次の順番がおすすめです。

Step1|実施体制を1枚で作る

まず、誰が何を担当するかを整理します。

  • 代表者
  • 環境管理責任者
  • 部門責任者
  • 現場担当者
  • 事務担当者
  • 営業担当者
  • 緊急事態対応担当者

ポイントは、実施体制図を複雑にしないことです。1枚で見て分かる体制にします。

Step2|教育・訓練計画を作る

次に、年間の教育・訓練計画を作ります。

  • 全従業員教育
  • 管理職教育
  • ドライバー教育
  • 施設担当者教育
  • 事務担当者教育
  • 緊急事態対応訓練
  • 法令遵守教育

教育は、朝礼や月次会議と組み合わせると継続しやすくなります。

Step3|コミュニケーションルールを作る

社内外の情報共有ルールを整えます。

  • 社内会議
  • 朝礼
  • 掲示
  • チャット
  • 苦情受付
  • 顧客要望
  • 行政対応
  • 環境経営レポート公表

特に苦情・要望は、受付から再発防止まで記録することが重要です。

Step4|現場で使う手順を決める

現場に必要な手順を整理します。

  • 受入確認
  • 選別
  • 破砕
  • 焼却
  • 排水処理
  • 車両運行
  • 燃料管理
  • マニフェスト管理
  • 委託契約書管理
  • 法令期限管理

文書化するかどうかは、リスクと複雑さで判断します。

Step5|緊急事態対応を訓練する

緊急事態は、実際に動けることが重要です。

  • 油流出訓練
  • 火災時対応訓練
  • 排水異常対応訓練
  • 台風・大雨対応訓練
  • 冬季凍結対応確認
  • 停電時対応確認

訓練後は、必ず記録と見直しを行います。

Step6|文書類を整理する

最後に、文書類を整理します。

  • 必要文書を一覧化する
  • 保管場所を決める
  • 最新版を管理する
  • 古い文書を誤使用しない
  • 審査時にすぐ出せるようにする

EA21は、文書の量で評価される制度ではありません。現場で使える文書が、必要十分に整っていることが大切です。

他県の産業廃棄物処理業界との比較|北海道企業のチャンス

EA21の認証・登録状況を見ると、北海道は全国的に見て、まだ認証・登録数が多い地域とはいえません。

2026年6月末現在、北海道は100社です。一方で、静岡県は992社、東京都は694社、兵庫県は498社、福岡県は462社、大阪府は451社です。

ただし、この都道府県別データは業種別に細分化されたものではないため、「北海道の産業廃棄物処理業者だけが他県より少ない」と断定することはできません。

それでも、全国の業種別割合を見ると、廃棄物処理・リサイクル業は1,556社・20.7%を占めており、EA21の主要業種の一つです。

ここから見える北海道企業のチャンスは、次のとおりです。

  • 北海道内でEA21認証・登録済み企業として差別化しやすい
  • 排出事業者に対し、環境管理体制を説明しやすい
  • 優良産廃処理業者認定への準備につなげやすい
  • 建設業・運送業・製造業との取引で信用を得やすい
  • 地域密着型企業として環境経営をPRしやすい
  • 環境経営レポートを営業資料として使いやすい

北海道は、移動距離が長く、冬季燃料負担が大きく、建設系廃棄物や地域環境への配慮も重要です。

だからこそ、EA21を単なる認証ではなく、北海道企業の経営改善と営業力強化の仕組みとして活用する価値があります。

EA21認証・登録で失敗しないための対策

EA21で失敗する会社には、共通点があります。

よくある失敗

  • 担当者1人に丸投げする
  • 代表者が関与しない
  • 現場が内容を知らない
  • 書類だけ作って実態がない
  • 教育・訓練を実施していない
  • 苦情対応記録がない
  • 緊急事態対応訓練をしていない
  • 古い様式や文書が混在している
  • 法令一覧表が更新されていない
  • 環境経営目標と現場作業がつながっていない

失敗しないための対策

  • 代表者が最初に方針を示す
  • 実施体制を1枚で明確化する
  • 教育・訓練を年間計画にする
  • 現場日報や既存台帳を活用する
  • 苦情・要望の受付記録を残す
  • 緊急事態対応訓練を年1回以上行う
  • 文書類を共有フォルダで管理する
  • 法令一覧表を定期的に見直す
  • 月次で進捗確認する
  • 審査直前ではなく、日常業務として運用する

EA21の認証・登録に向けた必勝方法は、特別なことをすることではありません。今ある業務を整理し、役割を決め、実行し、記録することです。

本件を行政書士に相談するメリット

EA21は、社内だけでも取り組める制度です。

しかし、産業廃棄物処理業者や建設業者の場合、行政書士に相談するメリットは非常に大きいです。

1. 許可内容とEA21の実施体制を整合させられる

産廃業では、EA21の対象範囲と許可内容の整合が重要です。

行政書士が関与することで、次の内容を整理しやすくなります。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 産業廃棄物処分業許可
  • 積替保管
  • 中間処理施設
  • 最終処分場
  • 許可品目
  • 処分方法
  • 保管場所
  • 変更許可・変更届
  • 行政報告

EA21の実施体制が、許可内容や現場実態とずれていると、審査でも実務でも苦しくなります。行政書士が関与することで、許可とEA21を一体で整理できます。

2. 法令遵守と教育・訓練を実務化できる

EA21では、教育・訓練が重要です。

しかし、産廃業・建設業では、教育内容が法令と直結します。

行政書士が関与することで、次の教育内容を実務に落とし込みやすくなります。

  • 廃棄物処理法
  • 建設リサイクル法
  • マニフェスト管理
  • 委託契約書管理
  • 許可期限管理
  • 帳簿管理
  • 行政報告
  • 変更許可・変更届
  • 保管基準
  • 掲示板
  • 処理基準

単なる環境教育ではなく、違反を防ぐ教育にできます。

3. 緊急事態対応を現場目線で作れる

緊急事態対応は、机上の手順では不十分です。

行政書士が関与することで、次のような現場実態を踏まえた手順を作りやすくなります。

  • 油流出時の対応
  • 廃棄物流出時の対応
  • 火災発生時の対応
  • 排水異常時の対応
  • 騒音・粉じん苦情対応
  • 行政連絡の要否
  • 記録の残し方
  • 再発防止策の整理

特に、行政対応が必要な事故や苦情では、初動対応が非常に重要です。

4. 文書類を増やしすぎず、審査に耐える形にできる

EA21でありがちな失敗は、文書を増やしすぎることです。

行政書士が関与することで、既存資料を活用しながら、必要十分な文書体系に整理できます。

  • 許可証
  • 契約書
  • マニフェスト
  • 帳簿
  • 日報
  • 点検記録
  • 行政報告書
  • 教育記録
  • 苦情対応記録
  • 緊急事態対応記録
  • 環境経営レポート

EA21のためだけに無理な文書を作るのではなく、実務で使える形に整えることができます。

5. 優良産廃処理業者認定まで見据えられる

産業廃棄物処理業者にとって、EA21は優良産廃処理業者認定とも相性が良い制度です。

行政書士に相談することで、次の流れを見据えた設計ができます。

  • EA21認証・登録
  • 環境経営レポート整備
  • 法令遵守状況の整理
  • 電子マニフェスト対応
  • 情報公開
  • 財務体質確認
  • 優良産廃処理業者認定

EA21を単発の認証で終わらせず、会社の信用力向上と営業力強化につなげることが重要です。

まとめ|EA21のDoは、会社を動かす仕組みである

エコアクション21(EA21)の中編である「計画の実行(Do)」は、計画を現場で動かす段階です。

要求事項7~12は、次のように整理できます。

  • 要求事項7:実施体制
    • 誰が何をするかを決める
  • 要求事項8:教育・訓練
    • 社員が理解し、実行できるようにする
  • 要求事項9:環境コミュニケーション
    • 社内外と情報共有し、信頼を高める
  • 要求事項10:実施と運用
    • 決めたことを日常業務に組み込む
  • 要求事項11:緊急事態
    • 事故・災害・流出・火災に備える
  • 要求事項12:文書類の作成・管理
    • 必要な記録を残し、最新版を管理する

EA21のDo編で大切なのは、完璧な書類を作ることではありません。

現場が動き、記録が残り、改善につながる仕組みを作ることです。

北海道の産業廃棄物処理業者、建設業者、運送業者、製造業者にとって、EA21は環境認証であると同時に、経営改善、法令遵守、営業力強化、地域信頼のための実践的なツールになります。

次回の後編では、「取組状況の確認及び評価(Check)」「全体の評価と見直し(Action)」について解説します。

▶ EA21必勝ガイド前編|Plan編は→こちらへ

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