産業廃棄物の処理の流れ
適正な処理の流れ
排出事業者からみた産業廃棄物の適正な処理の流れは、大きく4つの項目に分かれます。
- 社内体制の整備
- 適切な委託業者の選定
- 適正な委託契約書の締結
- 委託する廃棄物それぞれについてマニフェストの運用
社内体制の整備
廃棄物を適正に処理するためには、委託先の業者選定以前に、排出事業者側の管理体制を整備する必要があります。社内での担当者や責任者を決めながら業務分担を明確にし、責任をはっきりとさせることが重要になります。
社内体制を構築することによって、委託契約書の作成、締結、保管とマニフェストの適切な運用、管理がしやすくなります。各自の責任と業務範囲を明確にすることによって、万が一、不適正処理に直面した場合でも、より的確で、迅速な対応が可能になります。そのためにも、業者の選定や契約書、マニフェスト、行政報告等の担当や責任者を定め、緊急時の連絡先等についても社内共有できるように、社内体制についてあらかじめ整えておきましょう。
また、排出事業者自身が、産業廃棄物に関する情報及びその処理フローを理解することは非常に重要です。廃棄物処理業者だけの問題でなく、排出事業者も産業廃棄物を適正に処理をという同じ目的を共有する当事者として、法律上の義務だけでなく当事者意識を持つことが重要です。
適切な委託業者の選定
産業廃棄物の排出事業者は、自社の産業廃棄物の処理を委託する場合、信頼できる廃棄物処理業者を選定し、適切な産業廃棄物の処理を委託しなければなりません。適切な委託業者を選定する方法としては、委託先業者をピックアップする方法として、環境省や各都道府県のホームページで確認するほか、産廃情報ネット等からも確認することができます。
また、候補となった廃棄物処理業者の行政処分の有無を確認することも大切です。行政処分歴を受けて営業停止や施設の使用停止になっていても、廃棄物処理業者の許可証に記載されるわけではありません。つまり、許可証を持っていたとしても、実はその時には許可を取り消された無許可業者になってしまっているリスクがあります。許可の取消処分等を受けていないかどうかは、産業廃棄物処理事業振興財団のホームページで確認することができます。
適正な委託契約書の締結
産業廃棄物の処理を委託する場合には、収集運搬用と処分用でそれぞれ委託契約書を作成し契約する必要があります。この契約書には、処分先や料金等の法定の項目が含まれている必要があります。もし適正な契約を結ばれていない場合、委託基準違反となり罰金等の刑罰の対象になるため、適切な委託契約書に基づいて契約を締結する必要があります。
委託契約書の記載事項について→詳しくはこちら
委託する廃棄物それぞれについてマニフェストの運用
産業廃棄物は、排出事業者が自らの責任で適正に処理することになっています。その処理を他人に委託する場合には、産業廃棄物の名称、運搬業者名、処分業者名、取扱上の注意事項等を記載したマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して、産業廃棄物と一緒に流通させることにより、産業廃棄物が適正に処理されていることを把握する必要があります。マニフェストの運用に関する義務に違反した場合、罰則の適用や、一定の勧告や公表・命令の対象になってしまい、企業の信頼の失墜等の大きなダメージとなりかねないため、適切な運用をする必要があります。
マニフェストの運用について→詳しくはこちら