産業廃棄物|委託契約書の記載事項
委託契約書とは
産業廃棄物の処理を委託するための契約には、「収集運搬用」と「処理用」のそれぞれの委託契約書(産業廃棄物処理委託契約書)を作成して契約する必要があります。この契約書には「処分先」や「料金」等、法定の決められた項目が含まれていなくてはいけません。もし、決められた項目が漏れている等あると、委託基準違反となり罰金等の刑罰の対象になるので注意しましょう。
委託契約書の記載すべき内容
委託契約書は、次の表に掲げる事項が含まれている必要があります。また、記載事項がひとつでも欠けている場合や実際に委託された内容と記載事項が異なる場合、委託基準違反の対象になるので注意が必要です。
必要な条項 | 収集運搬 | 処理 |
---|---|---|
委託する産業廃棄物の種類 | ◯ | ◯ |
委託する産業廃棄物の数量 | ◯ | ◯ |
運搬の最終目的地 | ◯ | |
処分又は再生の場所の所在地 | ◯ | |
処分又は再生の方法 | ◯ | |
処分又は再生施設の処理能力 | ◯ | |
最終処分の場所の所在地 | ◯ | |
最終処分の方法 | ◯ | |
最終処分施設の処理能力 | ◯ | |
委託契約の有効期限 | ◯ | ◯ |
委託者が受託者に支払う料金 | ◯ | ◯ |
産業廃棄物許可業者の事業の範囲 | ◯ | ◯ |
委託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項 | ◯ | ◯ |
委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取り扱い | ◯ | ◯ |
積替え又は保管の条項(収集運搬業が保管・積替えを行う場合)
必要な条項 | 収集運搬 |
---|---|
積替え保管場所の所在地 | ◯ |
積替え保管場所で保管できる産業廃棄物の種類 | ◯ |
安定型産業廃棄物の場合、他の廃棄物との混合への諾否等 | ◯ |
有価物を収拾する場合の諾否 | ◯ |
委託者側からの適正処理に必要な情報
必要な条項 | 収集運搬 | 処理 |
---|---|---|
産業廃棄物の性状及び荷姿に関する情報 | ◯ | ◯ |
通常の保管で、腐敗・揮発等の性状変化がある場合の情報 | ◯ | ◯ |
他の廃棄物と混合物により生ずる支障等の情報 | ◯ | ◯ |
JISCO950に規定する含有マークの表示に関する事項 | ◯ | ◯ |
石綿含有産業廃棄物が含まれる場合は、その旨 | ◯ | ◯ |
その他取り扱いの際に注意すべき事項 | ◯ | ◯ |
注意すべき点
産業廃棄物の種類
産業廃棄物の種類については、他の種類のものと結合しており機械等を使わなくては分別できないような一体不可分に混合している場合も「建設混合廃棄物」「シュレッダーダスト」等と具体的な名称を記載する必要があります。なお数量については、計量等により把握した数量を記載することが基本です。また、契約期間中に委託する産業廃棄物の数量が変更される場合には、書面により契約の変更又は訂正を行う必要があります。
廃棄物処理業者の事業範囲
事業の範囲とは、許可証の事業の範囲に記載されている事業区分と取り扱う産業廃棄物の種類のことです。収集運搬を受託する場合は、産業廃棄物を積み込む場所と荷下ろし場所を記入し、許可証に記載されている事業区分として積替え又は保管を含むか否か及び、取り扱う産業廃棄物の種類を記載する必要があります。
処分を受託する場合は、許可の事業区分として焼却、脱水、破砕、中和、選別、安定型埋立、管理型埋立しゃ断型埋立て等と、取り扱う産業廃棄物の種類を記載する必要があります。処分の委託契約については特に「最終処分」に関する記載の内容に注意が必要です。廃プラスチック類等の安定型品目と、木くず等の管理型品目等複数の種類の産業廃棄物の委託をする際には、最終処分の方法をしっかり確認するようにしましょう。
運搬の最終目的地の所在地
委託契約に係る産業廃棄物を処分又は再生する場所等を記載します。ただし、排出事業者が例えばA社には積替保管場所までの運搬を委託し、B社にはそこから処分の場所までの運搬を委託するように区間を区切った委託をする場合には、A社との委託契約では、積替保管場所を運搬の最終目的地の所在地として記載します。
処理施設の所在地、処分又は再生の方法及び処理能力
委託契約に係る産業廃棄物を処分又は再生する施設についていての所在地、処理能力(許可施設以外の場合は定格標準能力)及び処理方法を記載します。
最終処分施設の所在地、最終処分の方法及び処理能力
委託契約書に係る産業廃棄物を最終処分する施設についてその所在地、処理能力及び最終処分方法を記載します。
なお、最終処分の方法は、安定方埋立処分、管理型埋立処分、遮断型埋立処分、海洋投入処分又は再生を記載します。処理能力は、最終処分場の残余処分場の残余年数ではなく許可容量を記載します。
輸入された廃棄物の取り扱い
輸入された廃棄物(当該廃棄物を輸入した者が自らその処分又は再生を行うものとして許可を受けて輸入されたものに限る)の処分又は再生は委託できません。ただし、災害その他の特別な事情で廃棄物の適正な処分又は再生が困難である場合に、環境大臣の確認を受けたときには、この限りではありません。その場合、委託契約書にその旨を記載します。なお、輸入許可を受けて輸入された廃棄物の処分については、再委託することはできません。
委託契約の有効期間
委託契約の開始年月日と終了年月日を記載します。
なお、有効期間を定めた上で、委託者と受託者の双方の合意により、例えば、契約終了年月日の1ヶ月前までに互いに契約を解除する旨の書面による通知がない場合は、契約が同一条件で更新されたものとする自動更新の規定を記載することができます。
委託者が受託者に支払う料金
委託契約書に関し、委託者が受託者に支払う処理料金を記載します。なお、料金の記載方法としては、委託契約に係る支払い料金の他、1月当たりや単位廃棄物量当たり、トラック1台当たりや運搬1回当たり、トラック1台当たりや運搬1回当たりの料金を記載することができます。
積替え又は保管の場所に関する事項
委託契約に係る産業廃棄物について積替え又は保管を行う場合に、委託契約書に積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管することができる産業廃棄物の種類及び数量を記載します、保管することができる産業廃棄物の数量とは、法律の保管基準で定められている保管上限のことです。
なお、安定型産業廃棄物の運搬を委託する場合には、運搬中や積替保管の場所において当該安定型産業廃棄物が他の産業廃棄物と混合すること等により、安定型最終処分場に処分することができなくなるといった不都合が生じることも考えられることから、当該安定型産業廃棄物と他の廃棄物を混合することが許容されるかどうかについても記載する必要があります。また、安定型産業廃棄物と管理型産業廃棄物とを混合して委託する場合は、処理フローを確認し、廃棄物処理業者が積替保管の場所において手選別を行うことが許容されるかどうかについても併せて記載する必要があります。なお、有価物を収拾する場合にも契約書において排出事業者が許容する旨の記載が必要になります。
適正処理のための必要事項に関する情報
産業廃棄物の性状やその排出工程等については、委託者である排出事業者が実際に処理を行う受託者である許可業者に対し、次の表にあげた事項について適正な処理のために必要な情報を提供します。
不適正な処理が行われたり事故が発生したりすることを防止することを目的としています。
項目 | 内容 |
---|---|
性状及び荷姿に関する事項 | 固形状や泥状、ダンボール箱詰めやドラム缶入り等の記載 |
保管下で腐敗、揮発等の性状の変化に関する事項 | 腐敗による悪臭、昆虫等の発生、揮発ガスの発生等により健康被害等の支障が生ずる恐れがあることから、通常の保管状況における当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項 |
混合等により生ずる支障に関する事項 | 例えば、水との接触や他の廃棄物との混合や、衝撃により性状に変化及びこれらに起因する健康上に係る被害や予定する処分の支障等を記載 |
日本工業規格C0950号の含有マークに関する事項 | 有害物質(鉛等6物質)を含有する7製品(パソコン・ユニット型エアコンディショナ・テレビ受像機・電気冷蔵庫・電気洗濯機・電子レンジ・衣類乾燥機)について含有マークの表示が義務付けされていることから、当該含有マークが付されている旨を盛り込む |
石綿が含まれる場合はその事項 | 石綿(アスベスト)を含む廃棄物(工作物の新築m改築又は除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの)を取り扱う場合は、その旨を記載 |
その他注意すべき事項 | 委託者が把握している当該産業廃棄物を取り扱う際に必要と考えられる注意事項を広く記載 |