
金属盗難の現状と対策|銅線盗難の被害と金属盗対策法改正ポイント
金属盗難の現状と対策|銅線盗難の被害と金属盗対策法改正ポイント
近年、金属盗難(銅線盗難・電線盗難)が全国で急増しています。太陽光発電所や通信インフラ、エアコン室外機、道路グレーチングなどが被害に遭い、 社会全体に大きな影響を与えています。本記事では、金属盗難の現状と放置した場合のリスク、さらに金属盗対策法の改正内容と効果について解説します。
目次
金属盗難の現状|銅線盗難と電線盗難の実態
令和6年(2024年)の金属盗難認知件数は令和2年の約4倍に増加し、被害額は約140億円に達しました。 被害の中心は銅線・電線で、特に太陽光発電施設や通信設備での被害が深刻です。
銅線の盗難により発電が長期停止する事例、通信遮断による社会混乱など、金属盗難は単なる資産被害にとどまらず、経済活動や暮らしに直結するリスクとなっています。
放置すれば危険!金属盗難が招く深刻なリスク
- 社会インフラの機能不全:電力・通信・交通が停止し、地域生活や企業活動が混乱
- 経済的損失の拡大:復旧費用の増大、保険料の高騰、事業停止による二次的損害
- 治安悪化と模倣犯の増加:金属価格高騰で「割の良い犯罪」となり、模倣的な窃盗が拡大
- 再生可能エネルギー事業への打撃:太陽光発電や送電設備の盗難で脱炭素政策に悪影響
金属盗対策法の改正|改定前と改定後の違い
項目 | 改定前(従来) | 改定後(金属盗対策法) |
---|---|---|
適用範囲 | 自治体ごとに条例がバラバラ | 全国一律で適用 |
規制対象 | 統一定義なし | 特定金属くず(銅+政令指定金属) |
業の届出 | 地域差あり | 全国で届出義務(違反は罰則あり) |
本人確認・記録 | 地域差や任意 | 本人確認・取引記録作成/3年間保存を義務化 |
盗品疑い対応 | 任意 | 警察への申告義務 |
行政監督 | 権限に地域差 | 公安委員会による立入検査・営業停止命令等 |
犯行用具 | 規制なし | 大型切断工具の隠匿携帯禁止 |
対象金属の拡張見通し
新法の対象は「銅および政令で定める金属」とされています。今後は、盗難被害が多発している アルミ・ステンレス・鉄製公共部材(グレーチング・マンホール蓋)・太陽光パネルの金属フレームなどが追加される可能性があります。
また、古物営業法施行規則の改正により、 電線・エアコン室外機・グレーチングの買取についても金額不問で本人確認が義務化され、 2025年10月1日に施行予定です。
まとめ|金属盗難対策は社会インフラ保護につながる
- 全国統一の法規制により盗品流通を効果的に抑制
- 届出・本人確認・記録保存義務で銅線盗難の被害を減少
- 警察申告義務と行政監督権限の強化で不正業者を排除
- 大型切断工具の規制で犯罪の未然防止が可能に
- 古物営業法改正との連動で入口から出口まで多層的に規制が働き、インフラ被害リスクを縮小