産業廃棄物処理施設設置の際の手続きについて 建築基準法51条但し書き許可について

環境コンサル行政書士法人の若月です。

今回は、産廃処理施設を設置する際に必要になる手続きについて解説していきます。

その中でも、建築基準法51条但し書き許可について解説いたします。

一つの法律の、一つの条文の但し書きが許可名になっているのが特徴的な手続きです。

その条文を見ていただいたら、イメージがつきやすいかと思います。

これまでお役立ち情報で、廃棄物処理施設は「迷惑施設」という側面があることを繰り返しお伝えしてまいりました。

日本には都市計画法という法律があり、「積極的に都市として開発する地域(市街化区域)」「開発を抑制することで秩序や環境を保全する地域(市街化調整区域)」「将来的に開発することを視野に入れた地域(準都市計画区域)」など、用途に応じてエリアを指定することによって文化的な国土を維持、創造しています。

住宅地や商業地域ではそもそも廃棄物処理施設を建設するのに適していないため、建築基準法51条で、そもそも建設できないという規定がなされています。

が、工業地域など、一部の都市計画区域内で、「ここなら建てても問題ないね」と、専門家や議員に認められれば、建設が可能になるというのが、この建築基準法51条但し書き許可というものになります。

許可というのは限定解除の意味合いを持つものですが、これほど狭い範囲を指す許可制度もなかなか珍しいかと思います。

手続きにつきましても、なかなかボリュームのあるものとなっています。

都市計画審議会という、専門知識を有する学識経験者や、議員で構成された委員会で議題に挙げ、その結果問題ないというお墨付きを得ることが必要になります。

 この都市計画審議会が、年に数回しか開催されないものなので、準備が間に合わず、機会を逃してしまうと、半年ほど期間のロスが発生してしまうなどのリスクがあります。

つまり、都市計画審議会で認めてもらうための入念な準備が必要になります。

中でも大きなポイントとなるのが、

「立地の選定」「地域住民の合意形成」です。

先述した通り、まず、都市計画区域内の「住居地域系」や「商業地域系」の用途地域で、この許可を取得することは出来ません。必然と「工業地域」「市街化調整区域」または「非線引き地域(都市計画区域内で、特に用途が定められていない地域のこと)」を選ぶ必要があります。

※市街化調整区域は「市街化を抑制することで秩序を保つ地域」であるため、他法令の規制が多く存在します。このことについてはまた別の機会に解説いたします。

また、事業予定地の敷地境界線から 一定範囲内(自治体によってばらつきあり)に、病院、公園等の施設がある場合は許可取得が出来ません。

様々な要件があるため、事前準備には細心の注意を払う必要があります。

次にポイントとなるのが、地域住民との合意形成です。

事業予定地の敷地境界線から一定範囲内(自治体によってばらつきあり)に所在する住民及び会社などの全てから合意を得る必要があります。

地域住民に向け、説明会を開催したり、個別に訪問して、設置について説明することで、住民から理解を得て、同意書に署名をもらうなどする必要があります。

廃棄物処理施設は地域社会にとってはとても意義のある施設ですが、自分が住んでいる地域ではやってほしくないと思うのが、一般的な心理かと思います。

そのため、先入観で拒否感を示したり、苛烈な言葉で批判を受けたりと、手続き的にはハードな局面となることも多く、覚悟を決めて取り組む必要がある部分になります。

このような工程を含む入念な準備を経て、建築基準法51条但し書き許可は初めて申請することが出来ます。

重要なのは、51条の許可を取得して初めて廃掃法上の処理施設設置許可が出来るようになるという点です。つまり、時間と労力、お金をかけて取り組んだ建築基準法51場但し書き許可も、処理死悦設置及び産廃処分業スタートという目的を果たすための一工程のひとつにすぎないということです。

以上、大まかではありますが、建築基準法51条但し書き許可の概要、ポイントなどについて解説して参りました。

はじめからこのことを計画に織り込むことが、必要な費用や期間を算出するうえでとても重要になります。ぜひ、知っておいていただければと思います。

産廃処理施設設置は、我々行政書士や、施設メーカー、測量士や建築士など、多くの専門家が力を合わせ、一丸となって手続きを進める必要があります。

その中でも、工夫をすれば、都市計画区域外であれば、この手続きは不要になるので、利便性と経費のバランスを考えて事業用地を選定することが一つ大きなポイントと言えるでしょう。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回はこの辺で、失礼いたします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次