産廃処理施設設置に伴う開発行為について

環境コンサル行政書士法人の若月です。

今回は開発行為及び許可制度について詳しく解説していきます。

これまでの投稿で、産廃処理施設の設置には、様々な法令のハードルが存在することを繰り返しお伝えしてきました。

廃棄物は処理に伴う騒音、振動や悪臭の発生など、環境への影響が大きいことから様々な規制がなされていますが、街づくりの側面から見ても大きな影響があると言えます。

例えば、廃棄物の埋立処分場を作る場合、林を切り拓いたり、数ヘクタールにも及ぶ大きく、深い穴を掘るということになります。

環境の保全や、災害の防止の観点からこのような行為を都市計画法上、開発行為と定め、許可制度を設けることで規制しているのです。
※上記「林を切り拓く」行為は森林法上の林地開発行為に該当し、都市計画法とは別の法律で規制されています。

参考条文
都市計画法第29条 都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市又は同法第252条の22第1項の中核市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあつては、当該指定都市等の長。以下この節において同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。

29条の条文に登場する開発行為とは、「建築物特定工作物の設置を目的とする土地の区画形質の変更」を指します。

まず、建築物について解説します。

土地に定着する工作物の内、屋根及びもしくはを有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに付属する門もしくは塀、観覧のための工作物もしくは効果の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設を言い、建築設備を含むものとする。(建築基準法第2条第1号)

上記の定義に照らし、該当するものは、どれだけ簡易的なものであっても建築物ということになります。

次に、特定工作物について。

特定工作物とは、コンクリートプラントその他周辺の環境の悪化をもたらす恐れがある工作物(第一種特定工作物)で政令で定めるもの、又はゴルフコースその他大規模な工作物(第二種特定工作物)で政令で定めるもの(都市計画法第4条第11項)
とされています。

産廃処理施設の内、「がれき類の破砕施設」はこの第一種特定工作物中のコンクリートプラントに該当し、土地の面積に関係なく、開発行為に該当することになります。

開発許可が必要にも関わらず、取得せずに建てられた建築物を一般的に「違法建築物」と呼びます。

設置、移動が容易なプレハブ工法の小屋や、倉庫の代わりとして使えるコンテナなども都市計画法上、建築基準法上の建築物に該当するため、、開発許可が必要な場合において、その手続きを取らずに設置した場合は違法行為になってしまいます。

では、もし、(故意ではないにせよ)違法建築物の存在する敷地で、廃棄物処理施設を設置するとなったら、どのような対応が求められるのでしょうか。

当然のごとく、自治体の建築指導課は違法建築物の存在を見過ごすわけにはいかないので、違法建築物の除却の指示が出ます。

既存の違法建築物を事業予定地から撤去してからでなければ、設置許可(開発許可)は、出せません…

ということです。

そもそもそんなこと有り得るのか、とお思いになる方もおられるかと思いますが、これまでにも同様の事件が発生したことがあるというのが事実です。これには、縦割りと呼ばれる行政機関の構造が大きく影響しています。
(次回の投稿で詳しく解説予定)

このように、都市開発の側面から見ても、影響が大きく、厳格な管理が求められるのが、産業廃棄物処理施設です。廃掃法だけでなく、複雑に敷かれた法規制の網目を丁寧に読み取り、一つ一つクリアしていくのが、地道ではありますが施設設置の最短ルートである。というお話でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回はこの辺で、失礼いたします。

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