生活環境影響調査(環境アセスメント)とは

環境コンサル行政書士法人の若月です。

産廃処理施設設置には、様々な法的ハードルが存在します。
本日はその中でも、「生活環境影響調査(環境アセスメント)」について解説いたします。

産業廃棄物処理施設は廃掃法15条にその種類が規定されており(通称15条施設)、それらを設置するには産廃処理施設設置許可を取得する必要があります。

その中で、申請書類の一つとして求められてくるのが「生活環境影響調査書」です。

これはどのような書類なのか。その趣旨を詳しく解説していきます。

産廃処理施設は騒音、振動、悪臭、水質汚濁、大気汚染など、様々な公害を発生する恐れのある施設です。
当然そのような公害を発生させてしまえば、近隣住民の健康や、平穏な生活が脅かされてしまいます。

そこで、施設を設置する前に、どのような環境への影響が発生するかを予測し、人体、及び人々の生活に影響を及ぼさないことを調査して証明する必要があり、それが生活環境影響調査(環境アセスメント)と呼ばれています。

騒音(振動)規制法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法等に、「環境基準」と呼ばれる数値がそれぞれ定められています。病気にならない、不快感を覚えない等の数値がそれぞれの法律で設定されているので、新たに処理施設を設置しても、人々の暮らしに影響がないということを施設設置前の事前の調査で証明するのです。

例えば、騒音、振動の測定の場合、数値化するには専用の測定器が必要であり、そこから通常の状態(人の話し声や、道路を通行する車両の音など。暗騒音という)に、施設が発する音を合成し、何dB(デシベル)の騒音値になるかを計算する必要があります。

許認可申請の手続きは行政書士に依頼される方が多いと思いますが、生活環境影響調査は専門知識及び専用の機器が必要になるため、測量士や環境計量士といった資格を持った専門家が出動することがほとんどになります。

それぞれの処理施設が発生する生活環境への影響は施設設計の段階で施設メーカーが算出し、仕様書やパンフレットなどに記載されています。
なので、設置前の事業予定地の状況(騒音・振動レベル、水質の状態など)を測量し、暗騒音(等の数値)を算出したうえで、実際にその施設を設置することでどのような変化が生じ、人体や生活にはどの程度の影響が及ぶのかを算出するのが一連の流れになります。

つまり、施設を設置する前に実施するのが通常の流れになります。

それぞれの施設に応じて、調査する項目は異なってきます。

例えば、木くずやがれき類を破砕するための破砕機を設置するとなると、「騒音」「振動」を調査する必要があり

廃プラ、金属、木くず、ゴムくず及び感染性産業廃棄物などを焼却する焼却施設を設置するとなると、「大気質」等の調査が必要になってきます。

また、環境影響の測量はある一定の期間(朝9時から夕方5時まで1時間ごと、等)のデータを採取し、その平均値を求めるという方法を取ります。

大気質の場合は、気候の影響も受けるので、年間(4半期に1度等)を通じたデータが必要になります。

それだけ準備に時間も、費用もかかります。

人々の健康や生活に関わることなので、大変入念な調査が必要ということです。

以上、生活環境影響調査について解説してきました。

弊所では処理施設設置にどのような手続きが必要になるかの診断もご提供しています。

処理業の内容と、事業予定地がお決まりの場合は、気軽にご相談ください。

今回はこの辺で失礼いたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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