
建設工事における廃棄物の処理責任について
環境コンサル行政書士法人の若月です。
本日は建設業界における廃棄物の処理について解説いたします。
建設業界は 電気・ガス・熱供給・水道業界、農業界に次いで3番目に廃棄物排出量が多い業界になります。(環境省調べ。産業廃棄物の排出・処理状況令和3年度実績より)
たとえ一般的な一軒家の解体だとしても、建設廃材や、コンクリートがらなどといった廃棄物が大量に発生することは、容易に想像出来ることと思います。
また、建設業の実務における大きな特徴として、関連事業者が多いという点が挙げられます。
発注者を頂点に、下請け、孫請けと、多くの事業者が集まって、一つのプロジェクトを完成させていきます。
そこではっきりさせておかないといけないのは
「誰が、責任を持って廃棄物を処理しなければならないのか」ということです。
廃掃法において、廃棄物の処理責任は排出事業者にありますが、
建設業において排出事業者は誰になるのでしょうか?
発注者でしょうか、実際に作業を行った事業者でしょうか。
答えは「元請け業者」になります。 (廃掃法第21条の3 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外 参照)
そうなると、実務にはどのような影響が出てくるでしょうか。
まず、廃掃法上の規定である「排出事業者責任」の原則に照らし、建設現場の廃棄物は元請け事業者のものということになります。
これを、元請け事業者が自社のダンプで廃棄物処理施設まで運ぶのは問題ありません。
では下請けの事業者が「この廃棄物を処理施設まで運び出してください」と、いわれた時、許可は必要になるでしょうか?
お分かりの通り、「(特別管理)産業廃棄物収集運搬業許可」がないと、運ぶことは出来ません。
同じ工事に関わるプロジェクトのメンバーだとしても、他人(元請け業者)の廃棄物を運ぶ行為であることには変わりはないからです。
発生した建設廃材を元請け事業者、又は下請け事業者が自前の破砕機で破砕処理する場合など中間処理業についても、同様のことが言えます。
マニフェストの発行義務者も元請け事業者となるため、保管、年に1度の発行状況報告などの義務が生じることとなります。
このように、建設工事における元請け事業者には、廃掃法上の様々な義務が適用させることとなります。
同時に、下請け事業者に対する教育も十分に提供しておかないと、有事の際に責任を問われるのは排出事業者である元請け事業者ですので、工事に伴い発生する廃棄物の運用には、十分に注意していただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回はこの辺で、失礼いたします。