
処理施設設置時によくある失敗②産廃処理施設を購入しても稼働できない? 許可申請の落とし穴と対策
「そんなことが本当にあるのか?」と思われるかもしれません。残念ながら、これは現実によくある話です。原因は、施設を設置する際に必要な「許可」が下りないことにあります。前回のコラムでも触れましたが、例えば次のようなケースです。
「購入した処理施設は、処理能力や処理品目に応じて設置許可が必要な施設であった。しかし、現在の事業場ではその許可要件を満たしていないと判断され、結局稼働できなかった。」
このような場合、せっかく購入した処理施設が無用の長物になってしまいます。
では、処理施設を販売したメーカーや卸売業者が「悪徳業者」なのでしょうか? 一概にはそうと言えません。販売業者自身が、その施設に許可が必要であることを知らないケースもあるのです。(知っててなお販売するのは論外ですが)
許可が必要かどうかで変わるケース
例えば、がれき類の破砕機を例に考えてみましょう。同じ機械でも、使用状況によって許可が必要な場合と不要な場合があります。

出典:コマツカスタマーサポートホームページより
許可が必要なケース(産廃処理施設設置許可、産廃処分業許可 等)
・他者から受け入れた産業廃棄物を破砕する場合
・他者が元請け業者となっている工事現場で発生したがれき類を破砕する場合
許可が不要なケース
・自社が元請けとなった工事現場で発生した廃棄物を破砕する場合
・岩石を購入してきて砂利を製造する場合
このように、同じ処理施設でもシチュエーションによって「許可の要否」が分かれるのです。
販売現場の実情
さらに、コマツのような大手重機メーカーは、主力製品が産廃処理施設ではなく、建設や農業用の機械です。そのため、産廃処理施設に関する法的知識を備えた担当者は少数派です。加えて法律も複雑なため、経験の浅い営業担当者が「悪意なく」使えない処理施設を販売してしまうこともあります。(ある意味、それが一番厄介かもしれません)
終わりに
こういった失敗を防止するには自社で法律の要件を確認するほか、法の知識を備えた販売担当者や専門家をパートナーにしておくことが挙げられます。弊所でも施設の購入時にご相談いただければ、必要になる許可の種類を診断させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。